労働・社会保険の障害給付
| 種類 | 概要 |
| 労災保険の障害給付 | どんなに遅くても、傷病の初診日から1年6カ月が経過した日に障害認定 |
| 社会保険の障害給付 | 原則としてその傷病が治癒しない限り障害認定はされない |
労災保険の障害給付
| 種類 | 概要 |
| 療養補償給付 | 労働者が発病した精神疾患が「業務上」の疾病として労災認定されると、当該精神疾患の療養には労災保険が適用され、療養補償給付が支給される。 ※業務外の場合は、健康保険が適用 |
| 休業補償給付 | 当該精神疾患のため労働することができず、賃金が受け取れない場合には、休業補償給付が支給される ※休業の4日目から1日につき、給付基礎日額の80% =休業(補償)給付:60%+休業特別支給金:20% |
労災保険法上の「治癒」
身体の諸器官・組織が健康時の状態に完全に回復した状態のみではなく、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態(症状固定の状態)を指す。したがって、症状が残存している場合であっても、医療効果が期待できないと判断される場合には、労災保険では「治癒(症状固定)として、療養補償給付をいない。

非器質性精神障害の後遺障害等級
非器質性精神障害とは、脳損傷等の器質的病変に起因せずに精神症状を呈する障害であり、一般的にうつ病やPTSDを言う。2003年、「神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準について」が厚生労働省労働基準局長から通達され、非器質性精神障害の後遺障害の等級が9~14に拡大された。(それまでは、14級のみ)
| 等級 | 概要 | 給付基礎日額 |
| 9級10号 | 就労可能な職場が相当な程度に制限されるもの | 391日 |
| 12級13号 | 職種制限の必要は認められないが、就業にあたりかなりの配慮が必要であるもの | 156日 |
| 14級9号 | 職種制限の必要は認められないが、就業にあたり多少の配慮が必要であるもの | 56日 |
非器質性精神障害の後遺障害等級の判断
以下の項目を判断し、9級~14級が認定される。
- 残存した状態・障害(抑うつ状態、不安状態等)
- 精神症状(身辺日常生活、作業の持続等)
- 能力に関する判断項目(「できない」「しばしば助言・援助が必要」、「適切又は概ねできる」)
傷病補償年金と企業の解雇制限
労災により休業している労働者の解雇は、原則として禁止されているが、以下の場合には解雇が可能となる。
- 症状が固定して30日経過した場合
- 使用者が打切補償を支払った場合
- 傷病補償年金が支給され3年経過した場合
- 天災等により事業の継続が不可能となった場合
したがって、療養給付を受けている労働者の傷病が「治癒」に至らなかった場合、使用者は労働者を解雇することはできない。ただし、労災保険による療養開始後1年6カ月経過しても治らず、傷病等級1~3級に該当し、その状態が継続している場合に、給付基礎日数313~245日分の傷病補償年金が支給されれば、療養開始後3年経過すると解雇制限が解除される。
「打切補償」とは、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治らない場合において、資料者は、平均賃金1,200日分の打切補償を行い、その後は法律による規定による補償を行わなくてもいいという使用者の負担を軽減するための免責措置がある(労基法81条)。

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